授業風景

「日本古代の政治と文化」教員インタビュー

2025年01月29日

西本 哲也 先生

 

 

 

 

山梨大学非常勤講師
東京大学史料編纂所学術専門職員

<研究分野> 日本古代史(特に地方官人制・律令制)

 

 

〇「日本古代の政治と文化」はどういった授業なのでしょうか?
山梨大学の学生には対面、山梨県立大学の学生にはオンラインで受講をしてもらっています。
複数の学部の皆さんが受講していることや、高等学校での日本史の履修状況などに差があることを考慮して、授業中に質問をしてもらうのではなく、授業後のミニットペーパーでの回答・質問をお願いしている状況です。そのような状況ですので、学生同士で意見交換をする場は取り立てて設けてはおりません。
対面で授業を受けている山梨大学の学生さんは、授業のときに配付するB6の大きさの紙に記入してもらっています。また、オンライン受講の山梨県立大学の学生さんはMoodleのシステムからテキスト形式でオンライン提出をしてもらっています。そこで感想や質問を書いてもらって、説明が足りなかったと考えられるところや疑問点について次の回に追加資料を配付して簡単に補足説明をしています。

〇シラバスを拝見すると「動物」が出てくるのですが、「政治と文化」と深くかかわっているのでしょうか?
教養教育科目ですので、複数の学部の学生さんが受講されています。その中では歴史の研究をする学生は基本的に少数ですので、ある程度ポイントをしぼって「日本の古代」について触れていく必要があるかと思います。また、甲斐国(現在の山梨県)との繋がりや制度を比較するという点から動物というテーマを選択しています。甲斐国は古代から牧が営まれており、それがどういったものであるかということに加え、それが制度上どのように運用されていたのかというところを授業の中で見ていきました。このようなテーマは一見すると「政治と文化」という講義題目からは離れているように見えるかと思いますが、律令制のような制度を定めていく過程は政治の在り方ですし、人間が動物をどのように利用していくかは文化の一部ということもできます。
ただし、ただ古代の甲斐国はこうでした、という話をしても学生の気づきにつながりにくいところがあると思いますので、歴史学研究の基礎となる史料を読み解いていくことに留意して、古代の史料にどのような物があってそれらがどのような性質を持っているのかを簡単に説明した上で史料を見ていくという方法をとりました。
ミニットペーパーなどに書かれた感想に目を通した印象では甲斐国の在り方についてはある程度伝えられたのではないかと思っております。

〇この科目を受講して学生に何を学んでほしいですか?
次のことを意識して講義の際に話をしています。
まず、高等学校での日本史の履修状況も異なる中で、日本の古代史についてこういう世界があるということを知ってほしいと思って話しています。古代の甲斐国が当時の日本列島の中でどのように位置づけでどのような特性があったかという点です。また史料に基づいて考えるという歴史学の基本的立場についても意識して話をしています。
「史料を読み解く」ことは多くの学生は今後触れていくことはあまりないと思いますが、文字で書かれた情報については、その前提や伝えられ方を意識する必要があるという点は現代的な課題としても意識してほしいと思います。

〇来年度に向けて履修を考えている学生にひとことお願いします。
古代というと遠い時代のように思うかも知れませんが、現在とつながっているところもあります。また、自分たちのいる山梨県(甲斐国)のあまり触れたことのない側面に触れてみてほしいと思います。



(2025.1.20 メールインタビュー)

 

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